管理栄養士として転職したいと思っても、
「何から始めればいいの?」
「求人を探す前に準備することはある?」
「応募から内定、退職まではどんな流れで進むの?」
と、転職活動の進め方が分からず不安になる人もいるのではないでしょうか。
管理栄養士の転職先には、病院や高齢者施設、保育園、給食会社、調剤薬局などさまざまな職場があります。
希望する職場によって仕事内容や働き方は異なりますが、転職活動の基本的な流れを知っておくと、今何をすればよいのか整理しやすくなります。
私自身も、管理栄養士としてこれまで2回の転職を経験しました。
調剤薬局から高齢者施設へ、その後は保育園へ転職しています。
実際に転職活動を経験して感じたのは、いきなり求人を探し始めるのではなく、「次の職場で何を大切にしたいのか」を整理してから動くことが大切だということです。
この記事では、管理栄養士の転職活動について、求人探しから応募、面接、内定、現在の職場の退職までの流れを順番に紹介します。
これから転職を考えている人は、転職活動全体の見通しを立てるための参考にしてみてください。
管理栄養士の転職活動の流れ
働きながら転職活動を進めるか、退職してから始めるか迷う人もいるでしょう。収入や面接に使える時間、退職を急ぐ事情などを考えて決めることが大切です。詳しくは、管理栄養士が転職するタイミングも参考にしてみてください。
管理栄養士の転職活動は、大きく分けると次のような流れで進みます。
| ステップ | やること |
| ①自己分析 | 転職理由や希望条件を整理する |
| ②求人を探す | 転職サイト・転職エージェントなどで求人を探す |
| ③応募書類を準備する | 履歴書・職務経歴書を作成する |
| ④求人に応募する | 希望する職場へ応募する |
| ⑤面接を受ける | 志望動機や転職理由などを伝える |
| ⑥内定・条件確認 | 給与・休日・仕事内容などを確認する |
| ⑦退職・入社準備 | 現職の退職手続きを進め、新しい職場への入社準備をする |
転職活動というと「求人を探して応募すること」をイメージしやすいですが、実際にはその前の準備も重要です。
特に、求人を探し始める前に、
「なぜ転職したいのか」
「次の職場では何を変えたいのか」
「どんな働き方をしたいのか」
を整理しておくと、求人を比較するときの基準ができます。
また、内定が出たら終わりではありません。
現在働いている場合は、退職時期を調整したり、引き継ぎをしたりする必要があります。
そのため、転職を考え始めてから新しい職場へ入社するまでの全体の流れを把握して、余裕を持って進めることが大切です。
まずは転職理由と希望条件を整理する
管理栄養士の転職活動を始めるときは、すぐに求人を探すのではなく、まず「なぜ転職したいのか」「次の職場で何を大切にしたいのか」を整理してみましょう。
転職を考えるきっかけは、人によってさまざまです。
たとえば、
「給料を上げたい」
「土日休みの職場で働きたい」
「厨房業務の負担を減らしたい」
「管理栄養士としてもっと専門的な経験を積みたい」
「残業の少ない職場で働きたい」
などがあります。
ここで大切なのは、現在の職場への不満だけで終わらせず、「次の職場ではどう働きたいのか」まで考えることです。
たとえば、「給料が低い」という不満があるなら、
「年収○万円以上を目指したい」
「昇給や賞与がある職場を選びたい」
など、希望する条件を具体的にしていきます。
すべての希望を満たす求人が見つかるとは限らないため、条件に優先順位をつけておくことも大切です。
| 優先度 | 条件の理由 |
| 絶対に譲れない | 給与、休日、通勤時間、勤務時間など |
| できれば叶えたい | 残業の少なさ、仕事内容、福利厚生など |
| あれば嬉しい | 駅から近い、研修制度が充実しているなど |
私自身も、転職するたびに重視する条件が変わりました。
新卒で入社した調剤薬局では、栄養相談やPOP、栄養だよりの作成などを経験しましたが、主な業務は処方箋入力などの事務でした。
そのため、最初の転職では、「管理栄養士としてもっと専門的な経験を積みたい」という思いがあり、高齢者施設へ転職しました。
高齢者施設では栄養管理や大量調理などを経験できた一方、シフト勤務や厨房業務による体力的な負担なども経験しました。
そこで次の転職では、仕事内容だけでなく、「長く働き続けやすいか」という視点も重視して職場を選びました。
現在の保育園では、給食管理だけでなく食育や離乳食などにも関わりながら、以前より自分が希望していた働き方ができています。
このように、実際に働いた経験によって、自分が職場に求めるものが変わることもあります。
転職活動を始めるときは、
「今の職場を辞めたい理由」
↓
「転職によって何を変えたいのか」
↓
「次の職場で譲れない条件は何か」
の順番で整理してみましょう。
自分なりの転職軸が決まっていると、たくさんの求人を見ても、自分に合う職場を判断しやすくなります。
転職理由をどう整理すればよいか迷っている人は、管理栄養士の転職理由の伝え方も参考にしてみてください。
管理栄養士の求人を探す
転職理由と希望条件を整理できたら、求人を探します。転職サイト・転職エージェント、ハローワーク、施設や企業の採用ページなど、複数の方法を確認してみましょう。
気になる求人が見つかったら、給与や休日だけでなく、実際に担当する仕事も確認します。私自身、調剤薬局では管理栄養士として採用されましたが、主な仕事は処方箋入力などの事務でした。職場名や「管理栄養士募集」という言葉だけで、仕事内容を決めつけないことが大切です。
求人を探す方法や求人票で確認したい項目は、管理栄養士の求人の探し方と求人票の見方で詳しく解説しています。
転職サービスを使って探したい人は、管理栄養士向け転職サイト・転職エージェントの比較も参考にしてみてください。
応募書類(履歴書・職務経歴書)を準備する
応募したい求人が見つかったら、履歴書や職務経歴書を準備します。
管理栄養士の転職では、資格を持っていることだけでなく、
「これまでどのような仕事を経験してきたのか」
「その経験を応募先でどう活かせるのか」
を伝えることが大切です。
同じ管理栄養士でも、職場によって経験できる仕事は大きく異なります。
まずはこれまで経験してきた仕事を書き出してみましょう。
そのうえで、応募先が求めている仕事内容と重なる経験を中心に伝えると、自分の強みを整理しやすくなります。
これまでの経験を応募先に伝わる形でまとめたい人は、管理栄養士の職務経歴書の書き方も参考にしてみてください。
志望動機は「応募先を選んだ理由」までつなげる
志望動機を書くときに、
「管理栄養士としてスキルアップしたい」
「これまでの経験を活かしたい」
だけで終わってしまうと、ほかの職場にも当てはまる内容になりやすくなります。
そこで、
これまでの経験
↓
転職して実現したいこと
↓
その中でも応募先を選んだ理由
という流れで考えてみましょう。
たとえば、保育園で食育や給食管理を経験した人が、高齢者施設へ転職する場合であれば、
「保育園で給食管理や食育に携わる中で、食事を通して健康を支えることにやりがいを感じてきました。今後はこれまでの経験を活かしながら、より幅広い年代の栄養管理について経験を積みたいと考えています。貴施設では利用者一人ひとりの状態に合わせた栄養管理に力を入れていることから、管理栄養士としてさらに専門性を高めたいと考え志望しました。」
というように、これまでの経験と応募先を選んだ理由をつなげられます。
転職回数があっても、それぞれの経験を整理する
転職経験があると、
「転職回数があると不利になるのでは?」
と気になる人もいるかもしれません。
しかし、転職した経験があるからこそ、複数の職場で身につけた知識やスキルもあります。
私自身も、調剤薬局、高齢者施設、保育園と職場を変えてきました。
調剤薬局では患者さんへの対応や栄養相談、高齢者施設では大量調理や給食業務、保育園では食育や離乳食など、それぞれの職場で違った経験を身につけることができました。
大切なのは、転職回数だけを気にするのではなく、
「それぞれの職場で何を経験し、それを次の仕事でどう活かしたいのか」
を説明できるようにしておくことです。
履歴書の志望動機や自己PR、本人希望欄など、具体的な書き方については、管理栄養士の履歴書の書き方も参考にしてみてください。
面接対策をする
書類選考を通過したら、次は面接です。
管理栄養士の転職面接では、志望動機や転職理由、これまで経験してきた仕事内容などについて聞かれることがあります。
面接直前になって慌てないように、応募した段階から少しずつ準備しておきましょう。
よく聞かれる質問への回答を考えておく
面接では、たとえば次のような内容について質問されることがあります。
・なぜ転職しようと思ったのか
・なぜこの職場を志望したのか
・これまでどのような仕事を経験してきたのか
・自分の強みや得意なことは何か
・入職後にどのような仕事をしたいのか
回答を一字一句暗記する必要はありません。
大切なのは、自分の経験や転職理由、応募先を選んだ理由を自分の言葉で説明できるようにしておくことです。
特に転職理由と志望動機は、それぞれ別の回答として考えるのではなく、
「なぜ転職したいのか」
↓
「次の職場で何を実現したいのか」
↓
「なぜこの職場を選んだのか」
という流れにつながっているか確認しておきましょう。
自分の経験を具体的に話せるようにする
「管理栄養士として働いていました」と伝えるだけでは、具体的に何を経験してきたのかが分かりにくい場合があります。
たとえば、
「100食程度の給食業務に関わっていた」
「離乳食やアレルギー対応を経験した」
「患者さんへの栄養相談を担当した」
など、実際に担当した仕事内容を整理しておくと説明しやすくなります。
また、応募先で活かせそうな経験があれば、
「これまでの経験を入職後にどう活かしたいのか」
まで考えておきましょう。
面接は自分が職場を確認する機会でもある
面接というと「採用してもらうための場」と考えがちですが、自分に合う職場なのかを確認する機会でもあります。
求人票だけでは分からなかったことがあれば、面接時に確認しておきましょう。
たとえば、
・管理栄養士は何人在籍しているか
・具体的にどのような業務を担当するのか
・厨房業務はどのくらいあるか
・1日の仕事の流れ
・残業やシフト勤務の状況
など、自分が転職先を選ぶうえで重要なことを整理しておくとよいでしょう。
私自身、これまで複数の職場で働いてきて、同じ「管理栄養士」という採用でも実際の仕事内容は職場によって大きく違うと感じています。
入職してから「思っていた仕事と違った」とならないためにも、気になることは面接で確認しておくことが大切です。
面接でよく聞かれる質問や答え方については、管理栄養士の転職面接でよく聞かれる質問と答え方も参考にしてみてください。
内定が出たら労働条件を確認する
面接を終えて内定の連絡をもらったら、すぐに入社を決めるのではなく、労働条件を改めて確認しましょう。
求人票を見て応募していても、実際の雇用条件については、内定時に提示された内容を確認することが大切です。
特に確認しておきたいのは、次のような項目です。
| 確認する項目 | チェックするポイント |
| 給与 | 基本給・各種手当など |
| 賞与・昇給 | 支給や昇給制度の有無など |
| 勤務時間 | 始業・終業時間、シフト勤務の有無 |
| 休日 | 年間休日、曜日、シフト制かどうか |
| 仕事内容 | 管理栄養士として担当する具体的な業務 |
| 勤務地 | 配属先、異動や転勤の可能性 |
| 試用期間 | 期間や試用期間中の労働条件 |
| 残業 | 時間外労働の有無など |
| 雇用形態 | 正社員・契約社員など |
転職活動では、どうしても「内定をもらえるか」に意識が向きやすくなります。
しかし、本来の目的は内定をもらうことではなく、自分が希望する働き方のできる職場へ転職することです。
最初に整理した希望条件と照らし合わせながら、本当に自分に合う職場なのか考えてみましょう。
求人票と実際の条件に違いがないか確認する
給与や勤務時間、休日、仕事内容などについて、応募時に確認した内容と内定時に提示された条件に違いがないか確認します。
分からないことがあれば、曖昧なままにせず、入社を決める前に確認しておきましょう。
特に管理栄養士の場合は、
「栄養管理が中心だと思っていたら厨房業務が多かった」
「栄養相談を担当できると思っていたら別の業務が中心だった」
など、仕事内容について認識の違いが生じることも考えられます。
そのため、給与や休日だけでなく、実際に担当する業務まで確認することが大切です。
内定が出ても焦って決めない
転職活動が長くなると、内定が出た安心感からすぐに承諾したくなることもあるでしょう。
しかし、転職後に「思っていた職場と違った」とならないためにも、一度落ち着いて条件を確認します。
複数の求人を検討している場合も、
「給与」
「休日」
「仕事内容」
「通勤時間」
「福利厚生」
など、最初に決めた優先順位に沿って比較してみましょう。
すべての条件が理想通りとは限りません。
だからこそ、自分にとって譲れない条件を満たしているかどうかを基準に判断することが大切です。
休日数も含めて転職先を比較したい人は、管理栄養士の年間休日や休みが多い職場についても参考にしてみてください。
転職後のミスマッチを減らしたい人は、管理栄養士が転職で失敗する理由と職場選びのポイントも参考にしてみてください。
内定承諾後は現在の職場へ退職を伝える
働きながら転職活動をしている場合は、転職先への入社が決まったら、現在の職場で退職の手続きを進めます。
退職を伝える時期や必要な手続きは、勤務先の就業規則などを確認しましょう。
転職先の入社日を決めるときも、現在の職場で必要な退職手続きや引き継ぎ期間を考慮することが大切です。
退職を伝える前に入社条件を確認しておく
現在の職場へ退職を伝える前に、転職先の入社日や労働条件などを確認しておきましょう。
「内定の連絡をもらったから」とすぐに退職を申し出るのではなく、転職先への入社について必要な確認を済ませてから退職手続きを進めると安心です。
退職理由は不満だけを伝えない
退職を申し出るときも、職場への不満をすべて伝える必要はありません。
たとえば、人間関係や給与などに不満があったとしても、退職時に相手を責めるような伝え方をする必要はありません。
「今後のキャリアを考えて、新しい環境で経験を積みたいと考えました」
など、簡潔に伝える方法もあります。
円満に退職するためにも、退職理由をどう伝えるかあらかじめ整理しておきましょう。
引き継ぎの準備をする
退職日が決まったら、担当している仕事の引き継ぎを進めます。
管理栄養士の場合は、職場によって、
・献立や発注に関する業務
・給食管理
・栄養管理
・食育
・アレルギー対応
・各種書類や記録
など、引き継ぐ内容が異なります。
自分が担当している業務を整理し、後任の人が困らないように準備しておきましょう。
また、制服や鍵など職場から借りているものがあれば、返却方法についても確認します。
退職・引き継ぎを終えて新しい職場へ入社する
現在の職場で退職手続きや引き継ぎを終えたら、いよいよ新しい職場への入社です。
入社日までに必要な書類や持ち物などを確認し、余裕を持って準備しておきましょう。
転職先によって必要なものは異なりますが、資格証明書などの提出を求められる場合もあります。
勤務先から案内された内容を確認し、分からないことがあれば事前に問い合わせておくと安心です。
入社前に仕事内容や勤務時間を再確認する
入社前には、初日の出勤時間や勤務場所、持ち物などを確認します。
複数店舗や施設を運営している法人・企業の場合は、実際の配属先についても確認しておきましょう。
また、シフト勤務の場合は、勤務時間や今後のシフトの決まり方などを確認しておくと、入社後の生活をイメージしやすくなります。
最初からすべてできなくても焦らない
経験のある管理栄養士でも、職場が変われば仕事の進め方やルールは変わります。
特に、病院から保育園、高齢者施設から調剤薬局など、異なる分野へ転職した場合は、新しく覚えることも多くなります。
私自身も、調剤薬局から高齢者施設へ転職したときは、それまで経験していなかった大量調理など、新しく覚える仕事がたくさんありました。
転職後はこれまでの経験を活かしながら、新しい職場のやり方を一つずつ覚えていくことが大切です。
まとめ|管理栄養士の転職活動は準備から始めよう
管理栄養士の転職活動は、求人を探すところから始まるわけではありません。
まずは転職理由や希望条件を整理し、「次の職場でどのように働きたいのか」を考えることが大切です。
特に転職先を選ぶときは、給与や休日だけでなく、仕事内容や勤務時間、厨房業務の割合、人員体制なども確認しておきましょう。
求人票の内容だけでなく、労働契約を結ぶ際に提示される労働条件を確認することも重要です。使用者には、労働契約の締結時に賃金や労働時間などの労働条件を明示する義務があります。
また、2024年4月からは募集時に明示する事項として、「業務の変更の範囲」「就業場所の変更の範囲」なども追加されています。
参考:厚生労働省「令和6年4月より、募集時等に明示すべき事項が追加されます」
勤務地や仕事内容が将来変わる可能性についても確認しておくとよいでしょう。
私自身、調剤薬局、高齢者施設、保育園と職場を経験してきましたが、同じ管理栄養士でも職場によって仕事内容や働き方は大きく異なりました。
だからこそ、転職活動では「内定をもらうこと」をゴールにするのではなく、自分が何を大切にして働きたいのかを整理し、その希望に合った職場を選ぶことが大切だと感じています。
焦って転職先を決めず、複数の求人を比較しながら、自分に合った職場を探してみてください。
管理栄養士向けの求人を探す方法については、管理栄養士向け転職サイト・転職エージェントの比較も参考にしてみてください。

